公益社団法人石川県不動産鑑定士協会のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
このたび、会長を拝命いたしました諸江 美和(もろえ みわ)と申します。
当協会は、不動産の適正な価格形成と不動産鑑定評価制度の発展を通じて、県民生活の向上と県土の健全かつ均衡のある発展に貢献することを目的とした公益法人です。不動産鑑定士は、経済価値の専門家として、地価公示および地価調査、相続税路線価のため評価、固定資産税等の課税のための評価、公共用地取得に伴う評価、競売不動産の評価など、多岐にわたる業務を通じ、社会基盤の維持と円滑な不動産取引に寄与してまいりました。
昨今の社会情勢に目を向けますと、人口減少や高齢化、地域間格差、空き家・低未利用地の増加といった複雑かつ深刻な課題に直面しています。これらに対し、的確な不動産評価を通じて実態を可視化し、政策形成やまちづくり、資産管理に資することもまた、我々専門職の重要な使命であると認識しております。
令和6年元日に発生した能登半島地震では、石川県民として深い悲しみと痛みを覚えるとともに、地域の回復に向けて不動産鑑定士としてできることを模索し続けてまいりました。特に、住家被害認定調査においては、多くの不動産鑑定士が行政への協力を行い、被災者支援の一助となるべく尽力いたしました。被災された皆様のご苦労を思うと胸が痛みますが、私たちも微力ながら、地域に根差した専門職として、能登の復旧・復興に寄り添い、長期的な視点で支援を継続してまいります。
私は石川で生まれ育ち、この地の豊かな自然や風土、文化、そして人のあたたかさに育てていただきました。不動産の価値とは、単なる面積、収益性といった数値だけでは語れません。そこに積み重ねられた歴史や暮らし、土地に込められた想いや記憶、そしてこれからの地域の将来像や発展性までをも含めて読み解くことが、真に「適正な価格」を導き出すうえで不可欠であると考えております。
当協会では、公益目的事業の一環として、一般の皆様を対象とした無料相談会や、専門性を活かした講演・研修活動にも取り組んでおります。不動産に関するお悩みや疑問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。「専門家に相談するのは敷居が高い」と思われがちですが、そうした壁を取り払うことも、私たちの大切な役割の一つです。これからも、不動産鑑定士の職責と倫理を重んじ、地域社会との信頼を築く協会運営に努めてまいります。当協会の活動に対しまして、今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
令和7年5月26日
公益社団法人石川県不動産鑑定士協会
会 長 諸江 美和